5/31に新田次郎賞の授賞式が開かれ、正賞の気象計を頂戴しました。
『玉岡かおるさん、新田次郎文学賞 「帆神」』
第41回新田次郎文学賞(新田次郎記念会主催)に、玉岡かおるさんの「帆神 北前船を馳(は)せた男・工楽松右衛門」(新潮社)が選ばれた。受賞した玉岡さんは「驚きの一言。歴史ある大きな賞をいただいて光栄です」と喜びを語った。
同賞は、小説やノンフィクション、エッセーなどジャンルを問わず、自然界に材をとった作品が対象。昭和57年の第1回は沢木耕太郎さんが「一瞬の夏」で受賞し、歴代の受賞者には、辺見じゅんさん、宮城谷昌光さんらがいる。
第41回の受賞者発表は4月12日。玉岡さんは受賞の連絡を受けたときは会議中で、見知らぬ番号や編集者から約10回着信があったが、出られずにいた。「何かよくないことでもあったのでは」と恐る恐る出ると、予想外の知らせ。候補作は非公表でもあり「賞には長く縁がなかったので、まさに青天の霹靂(へきれき)という感じ」と驚いた。
受賞作は、江戸時代後期の海運業に革命をもたらした兵庫・高砂出身の海商、工楽松右衛門の一代記。全国を船で駆け回る松右衛門が「利尻富士」と呼ばれる北海道の利尻山を望む場面がある。
この山に玉岡さんは20代の頃に登ったことがある。山岳小説の名作を数多く執筆した新田次郎さんの作品に触れたことがきっかけで山に親しむようになった。新田作品に触発された登山の描写をいかした作品が受賞するという偶然。「ご縁があったことに震えました」と振り返った。
授賞式は5月31日。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、関係者のみで行う予定という。
(産経新聞4月22日)