News(玉岡かおる公式サイト)

最新刊「花になるらん 明治おんな繁盛記」
京都の呉服商「高倉屋」のご寮人さん・みやび。女だてらに積極的に商売を拡げ、動乱の幕末から明治を生き抜いた女性の波瀾の人生を描く大河長篇。

「負けんとき」発刊に寄せて

負けんとき―ヴォーリズ満喜子の種まく日々 上下巻

発刊に寄せて

『お家さん』から3年。『銀のみち一条』から2年。
書き下ろしの長編小説に挑む私にとっては、まばたきの間のように感じますが、読者の皆さまには、きっとまだかまだかとお待ちいただいた歳月と思います。
そしてやっと、「お待たせしました!」と晴れやかに、新しい物語を皆様にお届けできる日がやってまいりました。

今回のヒロイン満喜子は、子爵令嬢という高い身分に生まれながらも、複雑な家庭に育ち、本当の愛を探してかなえられない少女期を送った女性です。やがて一人で生きる決心をしたときに、アメリカから来た一人のすがすがしい男とめぐりあいます。
米国から来て留まる。読んで字のごとく、のにち”米来留”という名の日本人に帰化する運命の男、ウイリアム・メレル・ヴォーリズがその人です。
建築家であった彼の作品は、関西学院大学、同志社、神戸女学院ほか、取り壊し問題で有名になった近江の豊郷小学校など、関西にはたくさん残っています。
近江八幡に拠点を置いた彼とともに、満喜子も幼児教育に身を捧げ、近江兄弟社学園は今もその精神を引き継いでいます。
さまざまな逆境を耐え抜き、社会が変わらないなら自分が変わる。そういう選択をして、最後まで負けなかった勇敢な二人の生涯。
けっして偉人伝ではなく、悩みもすれば迷いもする、そんな普通の人間として、玉岡かおるの筆力で等身大に描いた書き下ろしです。

正直、楽な仕事ではありませんでした。苦しく、つらくて、書き終わった時には涙が止まらなかった、そういう作品でもあります。
それだけに、こうして作品を送り出せることは夢のようです。
歴史に埋れ、消えゆく記憶の残像を、ふたたび光を放つ物語としてよみがえらせたい。そんな書き手の熱い思いを、ぜひ皆様にも共有していただけたら。そして、長編小説を読む醍醐味を味わっていただけたなら、それがなによりの幸せです。

玉岡かおる






posted by 管理人 at 08:50 | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする